コラム「理事長の豆知識」INFORMATION
【優しく・理解しやすいむし歯の解説】パート3「お口の中は菌がいっぱい?お口の中を覗きましょう。むし歯の傾向と対策」
こんにちは
東京都 墨田区 東駒形の 歯医者
「医療法人社団 長岡会 長岡歯科医院/長岡インプラント研究所」理事長 長岡博司です。
いつもコラムをお読みいただきありがとうございます
では、パート3ではお口の中を一緒に画像と共に覗いてみましょう。
お口の中は細菌がいっぱい⁉︎
通常、口の中には様々な種類の細菌が数多く住んでいます。
この中にはむし歯や歯周病の病原菌も含まれています。特にむし歯の病原菌としては、ミュータンス菌といわれるものがよく知られています。
じゃーん!


これが、むし歯イラストの正体!
ミュータンス菌です。
歯科医師としての「柱」
私は、病理学で歯学博士の学位をとっており、かなり掘り下げて勉強しました。
学生時代、顕微鏡を初めて覗いた時「こんなのがうじゃうじゃいるのか…」と衝撃を受けたのと、歯磨きをきちんとしているはずの歯学生でも「個々人により菌の量が違うのはなぜだろう?」と不思議に思い探究心に火が付いたこと、そして、何より、病理学は、歯科医師としての「基礎研究」であり、歯が悪くなる原因は正に「病理」にあるので、掘り下げ学びたいと思ったのが理由です。
「健康な身体はお口の健康から」と言われておりますが、全身疾患(医学)につながる歯科医学の一分野である病理学を掘り下げて学んだことは、歯科医師としての「柱」になっています。
ミュータンス菌は七変化
さて、お話しを戻しまして、このミュータンス菌。
私達が食事やおやつなどで摂取する食べ物や飲み物に含まれる糖分を栄養にして増殖し、その際に菌の周囲にネバネバのグルカンというノリのような物質を放出します。
これによって歯に強力に付着して、そこでたくさんの細菌の集合体が形成されます

これが増えて歯の表面の白い汚れとなったものが、プラークというものです。

歯磨き粉などのCMで「プラークコントロール!」なんて言葉を耳にしませんか?プラークとは「ミュータンス菌の集合体」のことなのです。
プラークコントロールとは、ミュータンス菌が増えないようにお手入れしましょうの意味ですね。因みに、このプラーク、1g中には1~3兆個の細菌が含まれています。
わお😅歯磨きしなきゃって気持ちになりませんか?笑

プラークが固まり、それがきちんと歯磨きで落とせないと、歯垢にになり、時間の経過と共に歯石になります。歯石は歯周病菌の温床となり、歯肉の炎症をおこして歯周病を進行させます。正に「お口の健康を守る負のスパイラルの入口」なのです。歯垢の状態の時には、ご自身の歯ブラシ等によるセルフコントロールで除去できますが、歯石になってしまうとプロフェッショナルケアが必要となります。

ミュータンス菌は、プラークとなり、乳酸を作り出し酸化させパワーアップ
この細菌が厄介な点は、同時に「乳酸」を作り出すことです。
そうするとプラークの中は「酸性」になり、接触している歯の表面のエナメル質は酸によって溶けてしまいます。この現象を「脱灰」といいます。


「えーーー歯が溶けているの?」と驚きの声が上がりそうですが、驚くことなかれ。
むし歯は、菌によって酸化し、歯が溶けている状態なのです。

ついに、親玉「むし歯」誕生
プラークを落としきれずに、この状態がずっと続くと、ついには穴があいてしまって、いわゆる「むし歯」ができてしまいます。
イラストでいうと、こんなイメージですね。
見るからに、悪そうです。
こうなると、歯を削って治療する必要があります。
※現代では治療法の開発により、歯を削らないでカリエスを除去する方法もあります。
厄介なことは酷くなるまで気づかない?
但し、歯に穴が開いた状態でも初期はあまり痛みを感じることはありません

いわゆるC1です。
そのまま気づかず放置すると、さらに歯の内部にまでむし歯は進行して、エナメル質よりも酸に弱い象牙質も壊れていきます

いわゆる、C2状態です。
この時にも痛みを感じないことが多く、放置すると、その中にある歯髄という歯の神経や血管のある部分にまで細菌が侵入します。

こうなると耐えがたい痛みが出たり(図8)、神経が死んでしまって中で細菌が繁殖し、ついには歯の根っこの先端部分のあごの骨の中に細菌の巣をつくるようになります(図9)。

いわゆるC3-C4です。
あごの骨の中で炎症がひどくなると、顔全体が大きく腫れあがるようなこともありますし、熱が出たり、全身にも悪い影響が出ることがあります。

ミュータンス菌対策です💡
ミュータンス菌がどのような「経過」を辿り、むし歯になるのかご理解頂けたでしょうか?
本文にも記載してあるとおり一番厄介なのは「酸をだし溶かすこと」、「プラークが固まった歯石は、第二の天敵 歯周病菌の温床になること」です。
ですが反対に、「酸を出す前に除去すれば、歯石になる前に除去すれば、何も怖くない、予防ができる菌なのです」
もちろん誰しも磨き残しはありますから、むし歯になってしまうことはあると思います。
その際、厄介なのが「初期は痛みを感じないこと」です。
実際、定期的に通っていない方々が、歯医者さんに「痛い」とか「むし歯できたかも?」と行くタイミングは図7くらいになってしまいます。

ですが、これも定期的に通院していれば「早期発見、早期治療が可能」になり、結果的には「ご自身の健康な歯を守ることと、将来的な治療費の軽減」に繋がるのです。
ミュータンス菌の特性を知り、ご自身の歯を守る対策を身につければ、全く怖くもない菌だということをご理解頂けたでしょうか?


イラストでいうと、むし歯になるということは、ミュータンス菌があなたの大切な歯をいじめているような状態です。

口腔ケア(歯磨きなど)をして、あなたの大切な自分の歯を守ってあげましょう。

※プラークは、歯ブラシにより除去できますが、歯ブラシだけですべて取り除くことはできません。 そのためにホームケアとして補助清掃用具と呼ばれるデンタルフロスや歯間ブラシを使用したり、プロフェッショナルケアとして歯科医院でプラークを細かなところまで除去する必要があります。
プラークは、乳酸を出し、歯を溶かすだけでなく、歯垢となり、歯石になります。歯石は歯周病菌の温床となり、歯肉の炎症をおこして歯周病を進行させると共に、口臭の原因となります。これが、痛みもなく歯医者さんは無縁という方も、現状の習慣とケアを続けて頂き、歯周病がないかのチェックができると理想的という理由です。
※むし歯のばい菌と、歯周病のばい菌は種類が異なります。
ホームケアとプロフェッショナルケア(歯医者での歯のお掃除)の併用。ご自身の心地よいバランスをみつけましょう
「いやいや…フロスに歯磨きそんなに出来ない…」という方々も多いのではないでしょうか。
フロスのしすぎは、歯肉が下がる原因にもなるため、中々難しく感じる方も多いですし、実際に、当院に定期的に歯のお掃除に通っている患者さん達もそのような方々が多いです。
ご自宅での歯磨きに、歯医者での定期的な健診やお掃除ケアをプラスするだけで、歯医者に出向く手間はかかりますが、「お任せして楽ちん」に同様以上のケアが出来てしまいますから。当院には、ご自宅では歯磨きをして、「あとは先生にお任せ」と通院していらっしゃる方々も沢山いらっしゃいます。

通院の頻度は選べます
もちろん、通院の頻度は、ご自宅のケアの出来具合やスケジュールで相談できます。歯科医師から見た理想的な頻度はもちろんありますが、現代人は忙しいので、自分にとって無理のないペースで「継続」することが何より大切です。
年0回(歯医者に行かない)よりは、年1回でも年3回ででも効果はあると断言できます。
ご自分にとって無理のないペースで「継続」することが何より大切
いずれの方法にしろ、磨き残したプラークが歯垢になり、歯石となり、酸性になり、歯を溶かして穴があく=所謂むし歯になる前に予防し、歯石を落とすことが大切です。ご自身の無理のないペースを掴み、バランスを考え「習慣」にしましょう。
歯科医師は、ご自身の健康な歯を守り、美味しく食べられる幸せが続くようにサポートいたしますので、一緒に頑張りましょう😊

むし歯の症状がある患者さんへ
むし歯がいっぱいで恥ずかしいとか怒られてしまうのではないかと迷われている方が、いらしたら、それは大きな勘違いです。
歯科医師は患者さんのお口を治したり、守ることが仕事ですから、安心して治療にいらして頂きたいと思います。
因みに、私は、開業して以来、お口の状態がボロボロだったり、かなり酷い状態の方々に対しても「こんな酷くなるまでほっといて」とか「自分の口に対してもっと責任を持ちなさい」などを言ったことは一度もありません。
理由は患者さんによりましては、歯科治療が怖くて仕方がない方や、仕事が忙しく通院出来なかった方や、ご本人は常々治療を受けたいと思っているのでしょうが、治療費が高いのではないかと危惧され、中々通院出来ない方など色々なパターンがあるからです。ですから、私は、患者さんに対して、そのような発言、意見はいわないのです。
麻酔技術も進化して、今は昔に比べたらびっくりするほど「痛みを抑えた治療」が出来ますから、安心して歯科医院に治療にいらして下さい😊
先ずは「治す治療」を始めましょう。
次回以降は、初期むし歯って何?むし歯になりやすい場所、むし歯になりやすい人?をお話しいたします。
※コラムを彩る画像はお借りいたしました。
※参照文献日本歯科医師会

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